2010・七宝香炉 「蒼風」
長年、やってみたかった香炉を創ろうと思っています。香炉と言えば「三つ足」その足をどうするか、煙の出る穴をどのように作るか、と、構造上の問題が沢山あって、そっちのことで、随分時間を食ってしまいました。 構造上、実験的な作品ですから、どうなりますやら・・・? |
左は素地です。図柄は「深山苧環」です。西洋オダマキはあちらこちらで見かけるのですが、ミヤマオダマキはなかなか手に入らずに、ネットで探して取り寄せました。そのオダマキはもう花が終わって、庭の片隅で沢山タネをつけています。
口の部分は歪み止めを立ち上げて、釉止めを更に15ミリ折り返していますからまるで壷のように見えますが、この立ち上がりは焼きあがってから切り落とします。
油分を焼ききってありますからちょっと紫味を帯びて見えています。
右は香炉の図面と肩の部分の下絵です。本体には深山苧環の図柄をつけます。
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やっと下地焼成、箔貼り、足付けが終わりました。それと同時にご注文をいただいたアクセサリー30個も何とか目途が立って、やれやれと言ったところです。
試し焼きのときは、箔貼りが綺麗に仕上がりすぎて何とも軽々しくなってしまい、もう少し地を汚したいと思って調整をとりました。これは何とか理想に近い焼き上がりとなったと思っています。
足の様子は写真では見にくいかもしれませんが・・・
月末までに植線とご注文品の発送を終わらせて、来月からは心置きなく色差しに入りたいものです。
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下絵付けを済ませましたが・・・ なんだか作品の大きさに比べて、柄が大きいかな??
一回り小さい方がいいのかしら? と、この期に及んでちょと迷う・・・
明日、もうちょっと考えてみますわ。どっち道、植線に入れるのは今週末ですから、迷っている暇は充分にあるんですもの!
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結局のところ下絵を86%に縮小して付け直し、昨日、一昨日と2日かけて植線を終わりました。で、今朝焼成。
肩の部分は焼成時に真下を向くので焼成時に落下する確率が高いわけで、かなり慎重に植線をしたつもりでもやっぱり焼き付けてみないと判らない・・・ 柄が細かいから銀線落ちすると厄介だなぁ・・・などとちょと不安に駆られるところです。
焼成を終わって冷めるのを待ちかねてひっくり返し、しげしげと確認。やっほ〜〜 ちゃんとついてるじゃないの! 本当にやっほ〜です!!
今日はもう肩こりバリバリですから休憩日として、今週水曜日は丸一日あいていますから、その日から釉薬差しを開始する予定です。
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昨日は一日、一番差でした。所要時間はほぼ6時間。肩の部分の柄が細かいので、思ったよりも時間がかかりました。
昨年までの作品に比べると、とても小さいのですが、その分やりにくい部分もあって・・・
夜になって焼成でした。心配した釉薬落ちもなく、無事に焼きあがったのですが・・・
しみじみ眺めて、ちょっと柄を付けすぎてうるさくしちゃったかな? と。
今年はダメかも〜〜なんて思っております。作品の小ささに負けたかもしれません。小さいものの難しさを痛感している次第です。
まぁ、ここまできたのだからこのまま進むしかないのですけれどね。
二番差は週末の予定です。
昨日二番差が終わりました。それなりに落ち着いてきましたけれど、やはり確信が持てません〜
大きさと柄、色彩とのバランスの問題に関して、今回はとても良い勉強をしているような気がしています。小さな作品の中で、どのようなバランスを保てばきちんとした緊張感が生み出せるのか??
いずれにもせよ、今日は三番差。これで体力勝負の大きな山は越えます。
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6日に三番差を終わり、7日は一挙に蓋を仕上げました。蓋は黒の一色盛ですが、釉薬の厚みを保つため、中央の穴と蓋の周囲にはギリギリに銀線を立ててあります。
何しろ昨年の作品で、蓋にフクリンをかけてもらったときに、縁が欠けてしまって研磨のしなおしでした。他人の仕事を非難しても始まらない、周囲に欠け止めの植線をして置かなかった私が悪かったとの反省の意をこめて、です。
全貌を確かめるために釉止めを切り落として蓋を重ねてみました。蓋はこれ以上印象をうるさくしたくなかったので黒一色にしたのですが、これでまぁまぁ纏まったかな? と。
今日はまず蓋から研磨を始めます。蓋だけ先に仕上げてさやかちゃんに送って、煙抜きの金具の留めの調整をしてもらわなくちゃなりませんから。本体の研磨はまだ充分に時間がありますからね。
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荒砥かけに入りました。#180の砥石で荒研ぎしてから#400を全面に掛け終わった状態です。#180は余りしっかりかけてしまいますとその研ぎ傷が最後まで響いてしまうので、軽く地ならし程度にして、#400を中心にかけます。
昔、金剛砂砥石を使っていた頃を考えると、まぁ、楽な作業になりました〜
研磨は無心になれるので、植線に次いで好きな工程です。かといって余りやり続けると翌日にどっと来ちゃいますから、本日はここまでといたします。
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釉止めを切り落として研磨を始めたら、この作品もそれほど捨てたものじゃないような気がしてきました。
釉止めを切り落として、全貌が見え始めたせいでしょう。釉止めが大きいので、全体像が掴めない不安さってのは初めての経験だったなぁ・・・ 段取りが甘かったせいかも〜 反省点であります。
本日、一挙に中砥の800番と1000番を終わりました。こんなに急ぐ必要はないのですけれど・・・
やり始めると止まらなくなっちゃうと言うのが私の悪い癖のようです。(^^ゞ
右側の1000番、少し艶が出てきましたでしょう? でも、この工程はもう少し続ける予定です。1000番を丁寧に掛けるのが、艶出しの一番肝心なところのような気がしていますから。ここをいい加減にすると、次からの艶出しに入ったところで傷が見つかったりして、行きつ戻りつの泥沼にはまっちゃう!
1000番と、次の艶出しの最初の1500番、この掛け方が「キモ」だと思っていますから。
今週中には、蓋の金具のワックス型が届く予定です。完全に全体像が見えるわけで、ちょっと楽しみです〜〜
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暇を見てぼつぼつかけていた#1500が終わりました。かなり艶が出てきたようです。あと一息!
作品が小さいので、あっという間に終わっちゃいそうです。
つまみのワックス型が到着する頃には研磨は終わっているかも〜
大きな作品には大きな作品を作る苦労がありますが、小さな作品には小さなものにしかない苦労があるものです。でも、研磨に関しては、いいの? と言うくらいラクですね〜(^^ゞ
表面積が小さいんだから当たり前ですけど・・・
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#3000を掛け始めたところで、さやかちゃんからの宅急便到着。早速あけて、ワックス型を取り出すのももどかしく、蓋にセットして作品にのせてみました。
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仕上げ砥の6000番までが終了いたしました。後は最後の艶出しで、ベンガラをかけて磨き上げるだけです。
明日は沼津で笛の発表会があり、勿論、私が出るわけではなくて、私のお師匠さんが出演なさるので、お師匠さんと車で沼津まで行ってきます。ですから、ベンガラは来週です。明日はいい気分転換になりそうです〜
足は写真では見えませんので、足だけ撮ってみました。極小さな三つ足がついています。この部分は研磨で結構手こずりましたけど・・・
ベンガラで仕上げの艶出しをいたしました〜 と、ここで「あれ?」と言うことが・・・
蓋と身の隙間、こんなでいいの? フクリンをかけたら、これじゃ身の上にちょこんと蓋が乗っかることになっちゃうんじゃないの? と。
フクリンの板厚がどのくらいのものを使うのか、それは先方任せなわけだし、今なら削りこんでちゃんと蓋が落とし込みになるようにできるよな・・・ だけど、図面はそういう風に描いたわけで・・・ この隙間でいいってことかな? と。
迷ったところで始まらない、問い合わせてみよう、と、電話しました。
電話してよかったわ! 案の定、乗っかる形になっちゃうところでした。
仕方がありません、蓋は周りを削り込んで研磨のしなおしですわ。
先方さんは多分数年前に代替わりしたのだと思います。息子さんがやっているみたいで、今回のも本体の方の板厚がぎょっとするくらい薄くて、何よ?これは?? とブツブツ文句を言いつつの仕事だったのですけれど。先代さんのようには行かないってことだな・・・
先代さんの時は、図面だけで通じていたのだけれど・・・ 何となく、自分の仕事がし易いように素地の構造を決めてつけて素地を制作しているような気がする・・・
来年からは、構造についての希望をしつこく図面に記入しておかねば・・・
幸い、蓋の方はひきやすい形だったせいか、かなりの板厚がありますので、ギリギリまで削り込んで隙間を出せるんじゃないかしら? 出せなかったらしょうがない、諦めることになるかも〜〜 まぁ、時間は充分にあるから、何とかやって見ます!
昔のように阿吽の呼吸で通じるなんてことは、もう金輪際、期待しないぞぉ〜〜! くそ!!
結局のところ、蓋は作り直しました・・・
一端、終了したつもりだったので、気持ちの立て直しが仕切れずに、もうちょっと研磨したいのだけれど・・・
この状態で覆輪掛けに出してしまいます。覆輪掛けから戻ってきた頃までにはもう一度気分を切り替えて、あと一日研磨する予定です。
昨日、さやかちゃんがつまみを持ってきてくれました。こっちの方は思ったとおりの仕上がりで、うれしいこと!!
なかなか愛らしい香炉になったのではないかと、ちょっと自画自賛です。
これから、荷造りして覆輪掛けに発送します。
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覆輪が出来上がってきて取り付けました。これで完成です。
30日に発送して、後は結果を待つばかりなんですけど、今年はどうもジタバタさせられっぱなしで運が悪そう・・・ (^^ゞ
でも、私としては気に入っていますから、ま、いっか〜〜
その後、大阪から戻ってきたこの作品は、縁あって嫁に行きました。末永くかわいがっていただけますように!
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8月25日に、朝日新聞紙上ならびに日本工芸会HPで結果発表があり、おかげさまで入選いたしました。ありがとうございました。
日本工芸会のHPで全入選者のリストを見ることが出来ます。(朝早くから新聞を買いに行く必要がなくなりました。)
こちらからどうぞ。
各会場のスケジュールです。お近くの方はご覧くださいませ。私の作品は、東京・名古屋・大阪の3会場に展示されるようです。
主催・後援・会期・会場一覧
開催地 | 主 催 | 後 援 | 会 期 | 会 場 |
---|---|---|---|---|
東京 |
文化庁
東京都教育委員会 NHK 朝日新聞社 (社)日本工芸会 |
平成22年 9月22日(水)〜 10月 4日(日) |
三越本店 | |
名古屋 |
愛知県教育委員会
愛知県 名古屋市教育委員会 名古屋市 NHK名古屋放送局 朝日新聞社 (社)日本工芸会 |
文化庁 | 10月 6日(水)〜 10月11日(月) | 三越名古屋栄店 |
京都 | 京都府教育委員会
京都市 NHK京都放送局 朝日新聞社 (社)日本工芸会 |
文化庁
京都府 京都市教育委員会 |
10月13日(水)〜 10月18日(月) | 京都高島屋 |
金沢 | 石川県教育委員会
NHK金沢放送局 朝日新聞社 北國新聞社 (社)日本工芸会 |
文化庁
富山県教育委員会 福井県教育委員会 |
10月29日(金)〜 11月 7日(日) | 石川県立美術館 |
仙台 | 宮城県教育委員会
仙台市教育委員会 NHK仙台放送局 朝日新聞社 河北新報社 (社)日本工芸会 |
文化庁
宮城県 仙台市 |
11月10日(水)〜11月15日(月) | 三越仙台店 |
岡山 | 岡山県教育委員会
岡山県立美術館 岡山市教育委員会 NHK岡山放送局 朝日新聞社 (社)日本工芸会 |
文化庁 | 11月18日(木)〜 12月 5日(日) | 岡山県立美術館 |
松江 |
島根県
島根県立美術館 島根県教育委員会 島根県文化振興財団 NHK松江放送局 朝日新聞社 山陰中央新報社 (社)日本工芸会 |
文化庁
鳥取県 鳥取県教育委員会 しまね産業振興財団 |
12月9日(水)〜12月25日(金) | 島根県立美術館 |
高松 | 香川県教育委員会 香川県立ミュージアム 香川県 NHK高松放送局 朝日新聞社 (社)日本工芸会 |
文化庁 | 平成23年 1月2日(日)〜 1月16日(日) |
香川県立ミュージアム |
広島 | 広島県教育委員会
広島県立美術館 NHK広島放送局 朝日新聞社 (社)日本工芸会 |
文化庁 | 1月19日(水)〜 2月6日(日) | 広島県立美術館 |
福岡 | 福岡県教育委員会
福岡市教育委員会 福岡市 NHK福岡放送局 朝日新聞社 (社)日本工芸会 |
文化庁 | 2月9日(水)〜 2月14日(月) | 福岡天神岩田屋 |
松山 | 愛媛県教育委員会
松山市教育委員会 NHK松山放送局 朝日新聞社 (社)日本工芸会 |
文化庁
愛媛県 松山市 |
2月22日(火)〜 2月28日(月) | 三越松山店 |
大阪 |
大阪府教育委員会
大阪市ゆとりみどり振興局 NHK大阪放送局 朝日新聞社 (社)日本工芸会 |
文化庁 | 3月10日(木)〜 3月15日(火) | 大丸大阪心斎橋本店 |
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