左は銅板を金バサミで切り、焼鈍してから木槌でたたいて平らにしたものです. 板厚は、0.8mmの銅板を使用しています. 中央は、銅のリボン線です.厚みは0.5mm、高さは1.3mmのものを使います.厚みはこのくらいが一番扱いやすいようです.メーカーによっては1.2mm×0.4mmなどもあります.大体このくらいなら構いません. 右は、銅線を折るのに使っているペンチです.ラジオペンチなどでもかまいませんが、余り大きなものですと細かい細工が出来ませんから小ぶりのものを用意しましょう.このペンチは先を丸く加工してありますから折ったときに折り目がつかずに滑らかに折れます. 銀線を面に貼り付ける糊は、白笈(びゃっきゅう)を用いますが、銅線の場合は高温焼成が出来ますから、CMCでもかまいません. |
銅板に裏釉を施釉して乾かした後、クラ台に乗せて表に銅用の白透を乗せました. 表面に水の膜ができるくらいにたっぷりと水を使って滑らかに施釉してください. ここで、注意したいことは、銀用の白透は決して使ってはいけないということです. 銅線を焼き付けてから、銅線の酸化皮膜を除去するために、希硫酸につけますが、その時に、銀用釉は酸に侵されてしまい、透明感がなくなってしまうからです. これから焼成に入ります. 裏・表共に、「ふりかけ」てもかまいません.「ふりかけ」技法を用いるのならば、白透は水洗いして乾かしたものを用いてください. |
焼成の様子です.焼成温度は900℃位の高めにして、じっくり焼きこみましょう. 焼成が甘いと綺麗な透明感が出ずに、銅板に曇ったような赤味が残ります.赤味が残ってしまった場合は焼きなおしておきましょう. |
Q 裏が大変なことになっています。 まぁ、平らなものはいつもこんな感じになってしまうのですが・・ 落下部分の補修は可能でしょうか? | |
A 釉薬の厚みがありすぎるんじゃないのかな? 一度に厚く盛ろうとせずに、薄く盛っておいたほうが良いですよ. 足りなければ、途中でもう一度裏引きすればいいのですから・・・ この、部分的なハゲを直す場合は、再び、極薄くで良いですから、全体に施釉してください. ハゲた部分だけ、のせ直しても、又落ちる場合が多いです. 裏釉が、部分的に厚く盛り上がっているところがあるようでしたら そこは、砥石などですり落としてから、全体に裏引きするのが一番確かです! |
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Q 焼いてみたら霞のようにいや薄雲のように白く銅に浮かび上がります。 釉薬が厚すぎたのでしょうか。焼きが甘いのでしょうか? それともこんなものなのでしょうか? | |
A 原因は、二つ考えられますね. 第一に、釉薬の洗い方が足りないのではないか、と. 何回くらい洗っていますか? 水をたっぷり入れて、ホセでかき回し、上澄みを捨てる、という作業を、透明釉薬の場合は10回程度繰り返しましょう. かき回しても、だいたい、水が澄んでいるくらいまで、です. それが出来ているのならば、次に考えられる第二の原因は焼成温度が足りないか、または短すぎる、ということです. この、ベース作りの場合は、900℃くらいで充分に焼きこんでください. 炉の中で、まるで内側から光が発しているように輝いてくるまで我慢して焼成しましょう. この写真は、炉から取り出してすぐのものです. |
左は、墨で下絵付けをしたものです.下絵付けには、面倒でも硯ですった墨を用います.水性ペンも使えますが糊をつけると滲んでしまいます.その点、墨はいったん乾くと滲みませんからまことに具合がいいものです.
右は、下絵の線に沿って銅線を植線したものです.線を貼るための糊はCMCでもかまいません.相手が銅線ですので高温焼成が出来ますからCMCを使ってもちゃんと焼き切れてくれますし、糊アクがでる心配はありません.
銅線はなるべく面から浮き上がらないように折りたいものです.
多少の浮きは、次の焼成の段階で修正します.
この場合の銅線の折り方についてです.
まぁ、実については、丸く折るだけだから構わないのですが、葉については、葉先をどう表現するかで随分感じが変わってしまいます.
上の図をご覧下さい.4種類の折り方が描いてあります.
まず、1と2を比べてください.基本的に同じ構造です.つまり、中央の葉脈と左右の輪郭を、1本ずつの銅線で形作っています.
問題は葉先です.1の方は、中央の葉脈を長く、左右の輪郭は少しずつずらせて配置してありますが、2の方は尖端を同じ位置に揃えています.
1の方が、葉先がシャープにとがった印象となりますね.2の方は葉先が丸みを帯びてぼってりとした感じになります.
次に、3と4です.
この折り方は、中央の葉脈と左側の輪郭を続けて一本の線で折っています.これは、中央の線が直線に近いために一本の線では立たない可能性がある時の折り方です.銅線は厚みがかなりありますから、折り曲げた先端はどうしても丸みを帯びてきます.それでも、3のように右の輪郭線を少しずらして配置することによって、多少葉先はシャープになります.
4のように尖端をそろえると、葉先の丸い葉の表現になります.
このように、ほんのちょっとした位置関係の違いで、随分表現は変化します.
そこを上手に捕らえての表現を考えると、作品はどんどん良くなるはずです.
単に葉だから、葉脈と左右の輪郭があれば良いというものではないと思うのです.木の葉先はシャープにとがらせたいのか、丸みを帯びた葉にしたいのかで、おのずから銅線の折り方、配置の仕方は変わってきます.
そこまで神経を使って表現するように心がけたいのです.
焼成温度は850℃〜900℃です. 炉の中を覗いていると、まず線の周りが黒くなります.これはCMCが焦げているということです. しばらくすると、その黒さは消えて、今度は銅線自体が黒く酸化してきます. もう少しすると、銅線の根元に、下塗りした白透があがってくるのが見えるはずです.そうなったら、ヘラなどで板だけを取り出して鉄板の上に置き、もし銅線が浮いていて付きが悪いところがあったら素早く鏝で直します. まだ、白透が冷えて固まらないうちに手早くこの作業を行います.モタモタしているとすぐに白透が固まってしまい、出来なくなってしますから、取り出す前に、鏝の置く位置などを充分に確かめておくべきです. 私の使っている鏝は、ホームセンターで購入した左官屋さんの鏝です.なかなか使い勝手が良いですよ〜 |
Q: 線の貼り方を少し詳しく教えてください。CMCは薄めたりしますか?糊は面の方に塗るのですか。線にも付けるのですか? 注意点があれば教えてください。 焼成した直後に鏝で押さえますが、出した直後はクラにくっついて離れないと思うのですがどう処理するのでしょうか? |
A: 銅線は、折ったらすぐに素地において、そのキワに面相筆などで糊をつけます. 乾かないとつきませんから、折るはじから糊付けしていった方が良いでしょう. CMCは、ちょっと、トロッとする位濃いものでも構いませんよ. 耳掻き1杯のCMCを小皿などに入れて、1〜2滴の水を指して練ってください. 粘りが出たら、ティースプーン半分ほどの水を加えて、再びよく練りましょう.このくらいの濃さでも充分つきます. ツキが悪いと思ったら、ちょっと乾かしてやってくださいね. クラは炉の中に置きっぱなしで、アルミのヘラでモノだけを取り出し、鉄板におきます. その時、炉の中で、クラから作品を持ち上げたら、2〜3回上下させてください. クラから飴のように糸を引く裏釉は元に戻り、これで表にくっつく心配がなくなります. ヘラは、必ずアルミ製を・・・ステンのヘラはくっついちゃいます. |
Q: ヘラがありません。何か代用ができないかなぁ・・・ |
取り出しヘラの代用品です.お作り下さいませ. 材料はどこの家庭にもある洗濯ハンガーよ. まずカッターなどでコーティングしてあるビニールを除去してから、形を作ります.根元は、焼成アミの端っこから引き抜いた針金で巻き止めました. 持ちにくいから、木の柄をステップルか何かで止めつけて、テープでも巻くと使い勝手が良いかも〜 今、使ってみたら、大丈夫、くっつかずに使えました!! お試しくださいませ. |
焼成後の板は、銅線が酸化して黒くなっていますし、銅線からの酸化膜も飛び散っているはずです. まず水で、飛び散った酸化膜を洗い流してから、10%程度の希硫酸に2〜3分漬けてから、ブラシで洗います . 写真は、酸洗いしてブラシで洗った状態です. |
硫酸は、工業薬品店で売っています.あるいは調剤薬局などでも扱っているところがあります.値段的にはせいぜい500円程度のものです.ただし、劇薬ですので印鑑を持っていかないと売ってはもらえません.
薄め方はご存知ですか? 間違うと怖いですから、必ず次の通りにやってください.
まず、耐熱ガラス器かポリ容器に水を入れておきます.そこに少しずつ硫酸を入れてください.分量を量るほど神経質になる必要はありません.薄すぎても時間がかかるだけですから・・・
容器は、口の広いものを使いましょう.口の狭いビンなどでやると、硫酸と水との反応で出る熱がこもってしまって割れることがありますから、くれぐれも注意してね!!
水が先よ〜〜〜!!!
薄まった硫酸はそれほど怖いものではありませんが、ゴム手袋などをして扱ってくださいね.
使っていくうちに硫酸液は青くなってきます.これは銅と硫酸が化学反応して、硫酸銅になったからです.あまり青くなってしまうと効き目がなくなりますから、作り変える必要があります.その場合、古いものは捨てるのですが、そのまま捨てずに中に一掴み重曹をいれて中和させてから捨てましょう.
もちろん、保管場所には留意してくださいね.
施釉です. 注意点は、銅線の高さ一杯まで釉薬を入れること.基本的に一度で施釉と焼成を終わりましょう. と言うのも、二度・三度と焼成するためには、その都度酸洗いをして、銅線の酸化皮膜を除去しなければなりません.となると、銀用釉薬とか、不透明の朱赤など、使えない釉薬が出てきていろいろと制約が多くなってしまうし、トラブルが多くなるからです. また、銅線の上に釉薬をかけないようにしましょう.仕上がりが汚くなります. ここで使った釉薬は、以下の通りです. 実の部分は、エビ茶・濃茶・暗朱赤(半透明)・サンゴB(半透明)・玉黄(半透明) 葉は、濃茶・黄緑透・黄透・ブラウンゴールド バックには、ブラウン 一度で焼成を終わらせるためには、充分丁寧にぼかしをしなければなりません. そのためにも、水をたっぷり使って作業いたしましょうね. 写真に、水の膜が張っているのが写っているかなぁ?? これ、傾けるとこぼれるくらい、水浸しよ!! 滑らかに施釉してくださいね. バックは、変化をつけるために、わざと、斑に濃淡をつけて施釉してあります. |
焼成温度は、850℃です. 釉薬が厚いので、熔け始めると一度釉薬は中央へ引っ張られます.慌てて出すと、釉薬と銅線の間に隙間ができることがあります. 一度中央へ引っ張られた釉薬が、ちゃんと戻るまで、じっくり焼いてください. これで終了です. ご自分でやってみられると、いろいろと疑問点が出てくるでしょう.それらに関しては、七宝Q&Aへ、ご投稿くださいね. |
額縁屋さんに行く用事が会ったので、ついでのこと、額装してきました. 馬子にも衣装ってわけですぅ〜 (^^ゞ |
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